ひまじんのひまじんによるひまじんのための…なにか?

グロックマン 03

ビギィッビギィッ・・・ピギュィォツッ!!!
 カエルを踏んだような素っ頓狂な声が、突然、薄暗い部屋のなかにひびいた。
「・・・ッ!!?なっ!?なにしやがる!?」
 叫び声の張本人であるその男は、ベットから突然たたき落とされるという最悪の目覚めを提供してきた襲撃者に、まぶたをこすりながら抗議の声を上げる。
「なにしやがる?じゃないわよこのバカ!あんたがクソデカイいびきをかいてるから、みんな迷惑してんのよ!」
「ッッッ!!!!!」
 男の目の前にいるのはショートヘアでつり目がちな白人女だ。女はカカト落としを、倒れている男のみぞおちにおみまいしながら理由を言った。
「このクソ眠いときになんて音を立てて寝てんのよ」
「ッてぇな!このアマ、だからってこんな起こしかたすんじゃねぇよ」
男はのたうちまわりながらも、抗議を重ねる。
・・・立ち上がりかけた男に、こんどはチョッピングライトが右あごにクリーンヒット!

 そんなことがしばらくつづく、ここは、この街の警察・・・ルールの執行者たちの、本拠地ともいえる建物の一室、主に下っ端の人間の仮眠室として使われている部屋だ。室内にはくだんの2人以外にも数人の人間を見ることが出来た。みな一様にやれやれまたか・・・という表情をしながら自らの休息を再開する。

その間にも理不尽なほどの暴力に彩られた、女の抗議はつづいていた。
「ぐふぉぁっ」
そう呻いて男は動かなくなった。
「・・・やりすぎた?」
女はそういいながら、静かに眠るおとこをみて、結果オーライかという結論にいたったようで、自分の睡眠を確保するためベットに入った。程よい疲労のおかげかスッと眠りに落ちる。
「おいっ!」・・・以外に立ち直りが早い
眠りに落ちる・・・
「おいっ!人をこんな目に合わせたくせに介抱もせずに眠るのか?」
眠りに・・・
「おいっ!!お〜い・・・もしも〜し、あの・・・」
抗議をしている男の目の前で寝ていたはずの女は、いつの間にか、起き上がって不機嫌さを隠そうともしないで男をにらみつけた。
「・・・なに?」
じっとりとしたその目線はかなり怖い。
「・・・ごめんなさい」
そのまま眠りに落ちる女を見て、何もいえない自分の情けなさに涙が出てくる。
・・・寝こみを襲ってやろうか
そんなことが思考に浮かんだが、以前同じ事をしようとした男の末路を思い出し、その思考を打ち消した。
・・・寝よう、明日も忙しいし
ずきずきと痛む全身をベットに横たえ、男は死んだように静かに眠りについた。

 けたたましい金属音が今まで静寂につつまれていた仮眠室に響き渡ったのは、まだ朝焼けのオレンジがのこっている早朝のこと。
「ほらほらもう朝だよ!!起きなっ!」
そう言いながら金属鍋の底を麺棒でたたいているのは、およそ50代とおぼしき褐色の肌をしたおばちゃんだ。
おばちゃんは、カーテンを開きながら、さらに起床を促す。
「はいはい朝だよ朝・・・なんだい?またじゃれあってたのかい?まったく仲が良いねぇあんたらは」
まだ赤みの残る陽光が部屋の中に差し込み、輪郭をはっきりと映し出すようになると、おばちゃんは男の惨状を見てあきれながらそんな事を言った
「うぅ・・・もう朝ですか?・・・体中がズキズキする」
男は結局しっかりとは眠れなかったようで、目の下にはしっかりとクマがにじんでいる。
「ああぁ!!よく寝た、今日もいい朝だわぁ」
白人女はそう言いながら、気持ちよさそうに伸びをする。
「あんたもいい加減学習しなさいよ!あの子にボコボコにされるのはあんたなんだから」
懲りないんだから、というふうに笑いながらおばちゃんは麺棒で男の頭を小突きながらほかの寝起きの悪い連中を起こしていく。
「・・・う〜」
実に的を射ているその意見を聞きながらも、男はすがすがしく朝を迎えたであろう女に何か文句を 
言いたくなった。
「おいケイト!!おまえのs・・・・」
口を開いた途端、件のケイト・ブロウニングのとげとげしい視線に気おされる。
「・・・おまえ、もう少しくらい女らしさってもんを身につけやがれ!!てめぇのおかげでこっちは、ほとんど眠れてないんだぞ!あぁくそ、今でも体中がイテェ・・・」
普段なら最初に睨まれただけで、引き下がっていた男は、今日はなぜか少しの文句くらい言いたいらしく、抗議の声を上げた。
「あぁっ?情けないねぇ、そのくらいのことでいちいち泣き言だなんて、あんたこそ少しは男らしくするべきなんじゃない?」
ケイトは女々しいねぇ、と鼻で笑う。
「なんだとっ?・・・・・・・!!」
なにかを言い返そうとする男の肩にポンと手が載せられる。
「やめときな、また痛い目を見るよ」
振り向くとそこには半ばあきれた表情で立っているおばちゃんがいた。
「グッ・・・」
自分でも結果が予想できたのか、悔しそうに唇をかむ。
「ほらほら全員とっととしゃきっとして、今日も一日しっかり働く!」
手をたたきながらおばちゃんが、そんな事を言って、今まで経緯を見守っていた全員がしぶしぶ動き出した。
「ほらほら、ケイトとジョンあんたたちもだよ、いつまでもじゃれてんじゃないの」
ジョンと呼ばれた男は悔しそうにケイトを睨みながら動き出した。そしておばちゃんに後頭部を小突かれ転んだ。
「ばっかじゃないの・・・」
ケイトはそれを見ながら鼻で笑った。

これはルールの執行者のいつもの何の変哲もない日常のひとこま。『捨て置かれた街』のひとつの平和の形、「いつも」という最も脆く儚い幸せの形。


久しぶりですが、グロックマンです。
少し短いですが・・・
今回はあの二人が出てきません
少しでも暇つぶしになったら幸いです
読んでくれた方ありがとう!!
・・・まだまだ続きますよ
三月中に終われたらいいなぁ [グロックマン 03]の続きを読む
  1. 2008/01/14(月) 21:18:26|
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グロックマン 02

以前書いた長文のつづきです。時間がかかったせいで多少自分のなかでつながりを補完しているかもしれないので、読みにくいかもしれませんが、よろしければどうぞ


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

赤黒い染みが、視界に広がっていく、世界が絶叫に覆われて、人々は恐怖にかられて、醜く逃げ惑う
 一人の少年は、呆然と立ち尽くす。少年の視線の先には、大きなコンクリートのかたまりが当然のように存在していた。しかし少年が見ていたのはそれではなく、それの下から広がる赤黒い染み、そして、不自然な形にひしゃげた人の腕
 少年は声を上げることもせず、ただ呆然とそれを見つめる。

「っ!!!」
ヴィクターはそんなイメージを最後に、目を覚ました。
「ハァッハァッ・・・なにしてる?」
肩で息をしながら目の前で立ち尽くす少女に声をかける
「苦しそうだったから・・・」
少女の手には水の入ったガラスのコップがにぎられている
「ああ…ありがとう」
礼をいい少女からコップを受け取る。
「・・・ずいぶん、元気になったようだな」
昨夜の落ち込みようから考えると、今の少女の態度は随分とマシになった。もっともヴィクターの知っている少女は、自分を襲ってきた鬼気迫る表情と何も考えられない状態の少女のしかないのだが。
「まあね・・・一晩寝たら少し落ち着いたよ。それによく考えれば生かしておいて、ヘタに恨みをかうより使い終わったらとっとと殺すほうが、後腐れがないのは事実だしね・・・」
少し複雑そうな顔でそんな事を少女は言う。
「どうせ今あんたを殺したところで、なんの得にもならないだろうし」
そして満面の笑みを浮かべてどこからともなくバラバラになった拳銃を取り出した。
「っな!!!それは・・・!!!」
本気でおどろきポケットを探るヴィクターを尻目に少女はケタケタと笑っている。
「あんたホントにあの<完遂する男>なの?スキだらけだったよ」
「・・・なんでまだここにいるんだ?時間はあっただろうに」
質問には応えずヴィクターは、自分の質問を少女にぶつけた。
「う〜ん、お礼を言う為、かな・・・結局のところ、あんたに助けてもらわなきゃ、あたしは今頃生きてなかったわけだし・・・」
無言で話を聞くヴィクターに対して、少女の言葉は続いた。
「それに・・・あたしとうちゃんを殺したやつらに、復讐…したいんだ」
いままでおどけていた少女の顔が少しずつ真剣味を帯びてくる。
「あたしは、非力だ。射撃の腕も、殺しのテクニックも、自分の身の守り方でさえ、ここで、この街で生きていくには不十分だ。だからあんたに・・・<完遂する男>に鍛えてもらいたいんだ!」
「断る!」
ヴィクターはしかし、その少女の願いを、間髪いれずに却下した。
「なんでっ?必要なものがあるなら用意する。お金でも、芸術品でも、情報でも・・・脱げといわれれば脱ぐし、抱きたいならそうしてくれてもかまわないの。どんなことでもやるから」
少女の顔はその顔を悲愴に染めながら懇願する。
「ちがうっ!お前はオレを誤解している。オレは噂されているような立派な人間じゃない…今はただ、組織に言われたことを実行するだけの機械、最近じゃ後進の育成を任され始めたただのロートルにすぎないさ・・・」
「でも、昨日は敵を簡単に倒してたじゃないの」
少女は必死で食い下がろうとする。
「簡単なんかじゃないさ、オレだって銃撃戦になれば怖いし、きのうだって、一歩間違えば死んでいたのはオレかもしれない。オレはただ身を守る為に戦った、そしてその結果として今ここに存在している。」
少しだけ複雑そうな表情で苦笑しながら、食い下がる少女をさとすようにさらに続ける。
「それにお前も、オレのことを知っているなら、オレの役割も知っているだろう。俺の仕事はこの街のルールを守ることだ、お前をきたえて復讐の手助けをしたんじゃそれこそ本末転倒だろ?」
「でも・・・だけどあたしは・・・」
少女は半分、諦めの表情で、しかし割り切れなさそうな表情で、なお食い下がろうとする。しかしなにも言うことが出来ないのか悔しそうに、目をとじる。
「・・・おれは、自分がこの街でここまで生きてこれたのは、ただ単純に運が良かっただけなんだと思う。運が重なって少しずつ力がついた、生きていくことができた。それと同じだ。お前たちは運が悪かった、だからお前の親父さんは人質として連れて行かれた、それだけさ」
「・・・全部、運が悪かったから諦めろって言うの?」
少し皮肉を含めた調子で言うヴィクターに、少女は怒気を含めてつぶやいた。
「そうだ。・・・だがいつか必ずお前にも、運が向いてくるさ」
「・・・・・・」
少女は無言で立ち上がり、ずんずんと部屋から出て行こうとする。その目には、無責任なことをいうな、という色を含んだ、怒りをにじませていた。
「おい、どこへいく?」
そう呼び止めてみるが少女は無視して、ドアノブに手をかけた。
「・・・あては、あるのか?」
少女は動きを止め、肩をふるわせる。
「あんたには、関係ないでしょ!」
顔をドアに向けたまま、振り向かずにそう言った。
「行く当てなんてないんだろ?」
ヴィクターは再びそう言う。
「・・・・・・っ」
少女は、なにも答えずドアを開ける。
バタンッ!!
そして外に出ると、乱暴にドアをしめた。
「・・・・・・やれやれ」
一人、部屋に残ることとなったヴィクターは、苦笑する。
「オレはどんだけ、お人よしなんだろな・・・」
頭をかきながらそうつぶやいた。

 外に出た少女は自分が今までいた空間がどこなのか、一瞬、理解できなかった。
「なんなのよ?ここって!?」
最初に感じたのは鼻を突くにおいだった。でも最初は特になにも感慨を抱かなかった。廊下を進んでいくと目の前に扉が現れた、しかしドアに近づいていくとだんだんとその臭いが、強烈になってきた。目の端に涙を浮かべドアを開けるのをためらっていると、肩を軽くたたかれた。
「そこに入るのはあんまりすすめないぞ、出口はあっちだ」
ヴィクターは、後姿だけでもわかる少女の心情に、にやつきながらそう声をかけた。
「・・・っ!!」
少女はヴィクターをじろりと睨みつけると、無言のまま踵を返し、ヴィクターが指差した方に歩いていく。その顔が若干赤かったのは、きっと気のせいだ。
「・・・ハァ」
自分の横をすり抜けていく少女の態度に、ヴィクターはため息をつく。
「おいっ!」
言いながらヴィクターは、少女に向かって、古びた拳銃を投げ渡した。
 少女は、声をかけられた時に、ちらりと振り向いた。目前には、黒い何かが迫っている。あわててそれをキャッチしようとしたが、とき既に遅く、ゴツンッというにぶい音をならしながら、少女の額に命中する。黒い何かは、そのまま器用に、かまえていた腕の中におちた。
「ぐぇっ!!」
という声とともに、自分に起きた突然の事態に対し、驚きのあまりに硬直していた少女の表情は、なかなかおもしろい。
 その様子を見たヴィクターは笑うまいと必死にこらえながらも、その瞳は明らかに笑っていた。
「なにすんのよ!?」
その視線に気付いた少女は、顔を真っ赤に染めながら怒鳴った。言いながら、視線は手の中に納まっている拳銃に向けられた。その途端、少女の顔から怒りの色が消え、悲しみの影が現れた。
「・・・これは?」
「逃げるときに念の為拾っておいたお前の銃だ。ただの粗悪品かと思ったが、なかなか手の行き届いた良い銃だ・・・」
「そう・・・良い銃…ね。」
今にも泣き出しそうな少女はポツポツとしゃべり始める。
「これは、とうちゃんの銃なんだ。とうちゃんが昔から持っていた銃・・・、そんで今はこれが唯一の形見ってわけさ。家はやつらに、どうせ処理されただろうし・・・」
「・・・そうか」
「あんたに撃たれたとき壊れたのかなとか思ってたけど、・・・ありがとう」
そう言った少女の瞳には強い決意のようなものがうかがえた。そして少女は出口へ向かう。
「・・・おい、すこしオレについて来い」
声をかけられた少女は、そのまま出て行くかどうか迷っていたようだが、振り返ってみると、そこには背中を向けて廊下をすすんでいくヴィクターの姿が見えた。
「なに?どうしたの?」
ヴィクターは何も言わずに歩いていく。仕方なく少女は、後についていく事にした。

 ヴィクターの歩みは、思っていたよりも速く、追いつくのに少々苦労した。
 ヴィクターは少女が、追いついたことを確認すると、少女に声をかけた。
「おまえはこれからどうするんだ?」
「決まってるさ、あいつらに・・・」
「復讐する・・・か」
「そうさ、あたしには結局それしかないんだ」
「・・・そうか、残念だ」
ヴィクターの言葉の意味が理解できない少女は、怪訝な表情をする。
「オレの仕事を知っているか?オレの仕事はこの街のルールを守ること・・・、おまえはそのルールを破ろうとしている、そうなればオレはそれを防がなければならない。」
そう言いながらヴィクターは拳銃を抜き、そのままためらいなく引き金を引く。
パンッ、短く高い破裂音が響いたと同時に、少女の胸ににぶい衝撃と鋭い痛みがはしった。
「えっ!?」
少女は衝撃を受けるまま、ゆっくりとたおれる。
 
・・・イタイ、なんで?わからない・・・、撃たれた?どうして?
少女は混乱している、男は倒れている少女のすぐ近くに座り、混乱している少女の顔を覗き込む。
「これでお前は昨日から合わせて3回は死んだ」
「???」
少女は何が言いたいのかわからないという表情で、男の顔を見る
「1回目はオレに奇襲をかけたとき、2回目は呆然としてバルチャーの連中に撃たれそうになったとき、そして3回目は今だ・・・」
「???どうして?」
苦しそうにそう聞いてくる少女の手は撃たれたとおぼしき位置にあてがわれている。その部分は鮮やかな赤色がにじんでいる。
「おまえが、どうしようもなく未熟なガキだからだ・・・、おまえじゃぁどうせすぐに返り討ちにあって死ぬだけだからな」
「だから・・・、面倒が起きる前に殺しておくって言うの?」
そう少女が聞くと、ヴィクターは少し笑い
「ああ、そうだな・・・、それで死ねるっていうんならな」
「???」
少女の顔に疑問の色が浮かぶと、ヴィクターは笑みを深くした。
「まだわからないのか?」
言いながらヴィクターはおもむろにその手に持った拳銃を自分の腕に当て、引き金を引く。
パンッ、さっきと同じ短く高い音、視界に広がる赤いしぶき、少女は目の前の男の信じられない行動に、混乱するしかなかった。
「・・・少し痛いな」
そして、男がそんな事を言ったあと、その腕を、何事もなかったかのように振り回し始めたとき、それが疑問から怒りに変わった。
気付いてみれば痛みは、ほとんど感じなくなっていた。
「おいおい、これはただのペイント弾だぞ?そろそろおきろ」
そして、その言葉を聞いたとき、それは爆発した。
「・・・なんなの、あんた?」
肩を震わせながら立ち上がる少女はそういいながら、その目に憤怒の炎を燃やす。
 少女は古びたリヴォルバーを取り出し、空になっていた弾倉に自分のポケットから取り出した鉛色の弾丸を装填する。
チャッチャッチャッ
素人とは思えない滑らかさでリロードをする。
「なっ!?ただの洒落だろ、ただのお茶目な冗談だから・・・」
チャッチャッチャッ
最期の弾丸が装填されると、少女はためらいなく引き金を引く。もちろんその射線上にはヴィクターがいる。
バンッバンッバンッバンッバンッバンッ
六発全弾規則正しく放たれた弾丸は、全てがヴィクターの体スレスレの箇所に命中する。
「・・・才能はあるみたいだな」
ひたいから一筋の汗を流しながらヴィクターはそうつぶやいた。

 
「で・・・あんたの悪趣味な冗談に付き合わされた理由は何?」
少女は、うんざりした様子で質問した。
「ん・・・あ・・・ああ、そうだそれだ、さっきも言ったようにおまえは何回も死んでいる、復讐になんていっても、おまえは下っ端の1人か2人倒せるかどうかも怪しいぐらいのレベルだ。」
「そんなことわかってるさ・・・でもそれ以外あたしにはやれることなんか・・・」
「そこで提案なんだが、オレもおまえの復讐相手、バルチャーの連中に、理由はわからないが標的にされた、だからオレもやつらに借りを返す必要があるわけだ。オレに協力するということなら、それはこの街のルールを守るということに抵触しないわけだ」
さっきまでのふざけていたような雰囲気は消え、その目は真剣そのものになっていた。
「そうすればオレはおまえを殺さないですむ、しかも人手不足のオレの部署も助かる」
「・・・わかったわ、そうする以外に選択肢はないみたいだし、ここで殺されるのも嫌だしね」
少女は苦笑いしながら、いつのまにか男の手に握られている拳銃をながめながらそう答えた。
「よし、交渉成立だな・・・、それじゃぁこれからはオレが鍛えてやる!せっかく確保した人員にそうそうと死なれても、困るからな」
 ヴィクターは心の中で静かに思う。何でこの少女をここまで助けようとしているのだろうか、昔の自分だったらさっさと処理しておしまいにするというのに・・・、それになぜオレは人を育てることに、少なからず生きがいを感じるようになったのだろう、と。
「じゃあ、いくぞ」
「・・・どこへ?」
「おまえの新しい居場所へ、だ」
「・・・うん」
少女はすこしためらいながらも、うれしそうに返事をした。なんでうれしかったのかは、よくわからなかった、でも、なんだか心が暖かかった。それはこのヴィクターという男に父親のような優しさをかんじたからかもしれない、かなり遠まわしで不器用だけれど、死を覚悟していた自分に生きろ、と言ってくれた男に対して。

「ヘザー・ダグラス・・・」
「んっ?」
「あたしの名前、まだ言ってなかったでしょ」
「ああ、よろしくヘザー」
「・・・ボソリ」
「なんだ?」
「なんでもない・・・」
「そうか・・・」
 出口へ向かう最中、へザーとヴィクターはそんな話をした。へザーはヴィクターよりも早足で歩いていた。その表情がヴィクターに見られないように・・・

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  1. 2007/12/20(木) 22:21:34|
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グロックマン 01

最初に言っておきます。これは高校時代にはじめて作ったプロットのやり直しです。
破綻とか結構あります。でも完結はさせるのでお暇だったらどうぞ
痛々しいハードボイルド大好き少年の妄想をご覧ください。
つぎの更新はいつになるかわかりませんが・・・


 なんでオレがこんな目に遭わなきゃならないんだ・・・
 それがこの状況を言い表すうえで、最も的確な言葉だろう。
 
 勤続25年、能力こそ人並みだが、いままで真面目に働いてきたつもりだ。
間違ったことはしていない、正しいと思うことを、支持しただけのはずだった。




 とある週末の晩、とある片田舎の繁華街では、いつものように週末独特の空気に満ち満ちていた。仕事帰りのサラリーマンらしい男たちや、工場作業員のような風貌の陽気な男たち、呼び込みをかける男や女、
どこの集団も人種などはまちまちで、まるで統一感がない。
 しかしこの街ではそれが普通だった。むしろそうでないと違和感がある。
 
 ここは『捨て置かれた街』どこにも属さず、警察も裁判所も、公的権力が存在しない場所、誰からも忘れられた街、それがこの街だった。
 
 寂れたバーのカウンター席でいつも通りに、グラスをくゆらす男ヴィクター・ライアンは、少し上機嫌に、何かいいことがあったときのためにキープしている上物のウイスキーを、ちびちびと楽しんでいた。
「めずらしいな、あんたがそんなに楽しそうな顔をするなんて…?」
年老いたバーテンがおかしそうにヴィクターに声をかける。
「そう見えるかい?・・・まえにオレが、若い連中の教育係になったっていっただろ?」
「そういえば、そんなことも言ってたねぇ。しかしあんた嫌がってなかったかい?」
「ああ、最初は嫌で嫌で仕方なかったさ。オヤジがすすめてきたから仕方なくやることになったんだけどねぇ。だけどあいつら、なかなか骨のある連中でねぇ。オレが多少無理のある課題を出しても、どんなにきつい訓練だろうが、悪態をつきながらオレの後を必死についてきやがる。そんなところを見てるとなかなかやりがいをかんじてきてねぇ・・・」
「ほう・・・あの暴れ馬がそんなことを言うようになるなんてな」
「おいおい、そんな昔のことをいまさら言うかい?」
「いやいや、人も変わるもんだとおもってね」
「あんたも変わったさ、オレがはじめてあんたと会ったときはもっとボリュームがあった」
「ははっ違いねぇな。変わらない人間なんていねぇからなぁ…しかしあのハナタレ小僧がそんなことを言うようになるなんてな…」
「…とにかく、その連中が最近少しずつ形になってきてねぇ、そろそろオレも必要なくなってきたもんでね、なかなか充実感みたいなもんがあってな、オレもそろそろ落ち着くべきかともおもってきてな」
「ほう・・・あんたももうそんなことを言うようになったのかい・・・っで、相手はいるのかい?」
「ははっそういう意味じゃねぇよ、オレもそろそろ鉄火場から身を引くべきかもと思ってね」
「教育係でもやろうかなってかい?」
「まぁ・・・そういうことさ・・・」

そんな話をしながら夜が更けていく。平和な夜、いつも通りの週末、『捨て置かれた街』での日常、そうして夜が更けていく・・・
 ここは『捨て置かれた街』世界の吹き溜まり、平和も混沌も、正義も悪も、全てが入り混じる世界のゴミ箱。
 平和は長くは続かない、ごく簡単に、当たり前のように崩れ去る、混沌の世界に裏返る。

ドォンッ!!!
これもまた、いつも通りの日常、別に誰もパニックになったりしない。ふつうなら冷静にその場からさっさといなくなるというのが、利口なやつのすることだ。そうすることでしかこの街では生き残れない。
「ったくどこのバカだ?こんなとこで騒ぎを起こすなんて・・・またどっかから爆弾魔でも入ってきたのか?」
ヴィクターは少し機嫌が悪そうにそんなことを言うと、おもむろに立ち上がりバーテンに声をかける。
「ちょっくら、バカをこらしめてくるわ」
「おう、一応気をつけろよ。かなり近くだ。外に出た途端にボンッてことになるなよ」
「あんたがオレを心配するなんてめずらしいな・・・」
ヴィクターは本当に意外そうに言う。
「死亡フラグが立ってんだよ!」
「???よくわからんが、気をつけるよ。そうだ勘定を・・・」
「今度でいいさ」
「・・ああ、ありがとよ」
ヴィクターは外套を羽織り、帽子をかぶり、身支度を整える。
そしてバーを静かに立ち去る。
「またな」
年老いたバーテンはひとりつぶやく
「おまえは、まだ幸せになれる・・・」
ヴィクターのボトルを片付けようとしたとき、バーテンはふと気付いた。
「おいおい・・・飲みすぎだぞハナタレ小僧、これじゃあキープもできんじゃないか・・・」
空になったボトルを手に、バーテンは友人である男の無事を祈る。


 外に出てみると、そこにはいつも通りに、硝煙の臭いがたちこめていた。
ヴィクターはその空気を自らの肺腑に満たし、今の状況を確認する。
 どうやらバーから一つはなれた通りで爆発が起きたらしい。
ここにただ立っていても仕方がないので、ヴィクターは無言のまま、爆発の発生地点と思われる場所へ向かうことにする。
 『捨て置かれた街』にもルールは存在する。誰かによって定められたものではない。そこに暮らす人々が、最低限必要だと思われるものを、ただ自発的に定め、自分たちで管理していく為のルール、そういったものは存在する。
そしてそのルールを維持する為に、結成された組織、最初はそれこそ小さな寄り合いに過ぎなかったが、徐々に拡大していき、現在、裏ではまるでマフィアのようなこともやっている組織、それがオレの現在の居場所、その中でもオレはこの組織の本来の目的であるはずの、治安維持ということを、結成当時から担当していた。
 もちろん組織が裏で何をやっているのかは知っている。それが本来オレ達が相手をするべきことだということも・・・
だが、ヴィクターはあまりそういうことを気にしない、組織から命じられたことを実行するだけ、それがヴィクターのスタンスだから、そうする以外の生き方を知らないから。

 ヴィクターは、爆発現場に到着するとそこに広がる光景に多少の違和感をいだいた。
「・・・・・・・・・・」
無言であたりを見回すと、そこに広がる違和感の正体に、気がついた。
 人が見当たらない、かなりの規模の爆発のようなのだが、死体どころか、けが人の一人すら見当たらないのだ。
「?・・・っ!!?」
突然、肩に衝撃がはしった。
「クソッ!?」
悪態をつきながらも、冷静に物陰に飛び込む
「油断した・・・チクショウ、オレもヤキがまわったもんだ」
傷の状態を確認しながら襲撃者の正体について、考えをめぐらす
「こいつぁ、ただの爆弾魔じゃねぇな・・・!!!もしや・・・」
しかし何かに気がついたヴィクターに、そのことについてじっくり考える時間は、与えられなかった。
黒塗りのワンボックスカーが目の前にせまってきたのだ。
「ッ!!なんなんだよ」
したたかにサイドミラーに肩をぶつけたが、なんとか衝突を避けた。
サンルーフから覆面男が頭を出す、その肩には円錐形の物体がついた筒状のものが、かつがれている。
「チッ!!RPGッ!?」
ヴィクターは、射線上から素早く飛びのく
ブォンッ!!その直後、熱波と衝撃が全身をおそった。
「やったか?」
覆面男は、不安そうに叫ぶ。
目の前の様子は立ち込める濃煙に阻まれて確認することができない。
「いやっ・・・油断するな、まだ確認できない」
運転席の男が冷静に注意をうながす。
「やったに決まってる、いくらあの男でもあの至近距離での爆発ならただじゃすまないはずだ」
覆面男は自分に言い聞かせるように叫んだ。
「オレがあの<完遂する男>ヴィクター・ライアンをやったんだ!このオレが・・・グッ!!」
大声で叫ぶ男はその最期にくぐもったうめき声をあげ、車内に崩れ落ちた。
「えっ・・・!?」
運転席の男は、何が起こったのかわからなかったのか間の抜けた声をあげる。
その直後、突風が巻き起こり、視界を覆っていた濃煙がはれた。
「ガキが・・・そう簡単に死んでたまるかよ」
ボロボロになったヴィクターがそこには立っていた。その手には黒い拳銃が握られていた。
グロック19という小型の拳銃はその銃口を、ワンボックスカーの運転席の男にむけた。
「チクショウッ!!チクショウチクショウチクショウチクショウチクショウ死ねぇっ!!!!」
運転席の男は悪態をつきながらアクセルを踏み込む。
ヴィクターは、迫り来る車に向かって2度、引き金をしぼった。
フロントガラスを穿ったその弾丸は、男の胸に吸い込まれ、立て続けに放たれたもう1発は眉間を砕いた。
制御を失った車は、蛇行しながら10Mほど走った後、建物にぶつかり爆発した。
ヴィクターはグロック19を外套にしまいながら、代わりにタバコを取り出すと、折れ曲がった一本を
口にくわえた。
ライターをさがしポケットをさぐった、がしかしそこから出てきたのはボロボロになった古びたライターだけだった。
「・・・あ〜っと」
少し寂しそうに、苦笑いをしながら、それをポケットにしまうと炎のあがる瓦礫に近づき、肺腑に紫煙を満たした。
「・・・なにが起こっているんだか、どうして<バルチャー>の連中が・・・とにかく今日は、疲れた」
うまそうに紫煙をはきながら、その表情には複雑な色をにじませていた。
「今日は、帰るとするか・・・」


ドォォンッ!!
ヴィクターが自宅につづく階段を登っていたとき自室のほうから爆発音が響いた。
「・・・またか」
ため息をつきながら、状況を確認する。
結構な規模の爆発のようだ、これでは部屋に期待は持てないだろう。
「来月からどうするかな・・・」
頭をかきながらそんなことを言い、再びため息をつく
「おいっそんなに震えてちゃ、あたるもんも当たらんぞ」
突然ヴィクターはそんなことを言うと、外套から拳銃を取り出し振り向きざま無造作に撃った。
「ヒヤァッ!」
乾いた音をたて古びたリボルバーが、地面を転がった。
「素人が・・・とっとと失せな」
機嫌が悪そうにそう言ったヴィクターは、そこで初めて襲撃者の顔を見た。
女・・・というよりも少女といったおもむきの襲撃者は、目の端に涙をためながらも、どこか意志の強さを感じさせた。
「どうした?とっとと行け、オレの気が変わらないうちに」
「いやだ!!」
少女はヴィクターが驚くような大声で、拒絶の声を上げる。
「・・・なぜだ?ここで逃げれば見逃してやるのに」
「あんたを殺さないととうちゃんが帰ってこないんだ」
そこで突然自動小銃の咆哮が響いた
ヴィクターは少女をかかえコンクリート塀に身を隠す
「おいガキ・・・残念だがお前の親父さんはもういないだろう」
「ウソだっ!!そんな事言ってあたしからとうちゃんを、あたしにはもうとうちゃんしかいないんだ」
「・・・あの銃弾はお前も狙っていた、オレもろとも、だ・・・わかるか、おまえは捨て駒に使われたんだよ」
「えっっ!!!・・・・・ウソだ」
「信じようと信じまいと、それが事実だ」
「・・・・・」
「すくなくともオレだったら素人のガキなんて、捨て駒以外につかわない」
「っ!」
言い合っている最中に、そこへなにかが投げ込まれてきた
「チッ!」
「こういうのはなぁ・・・こうしてやる」
そういいながらヴィクターは、投げ込まれたそれを飛んできた方向に蹴り飛ばした。
爆発そして悲鳴がひびきわたる
「これでわかったろ!やつらはお前なんて気にしてないんだ」
「そんな・・・」
うなだれる少女はなにも言わなくなった。
「おいっ、ついてこい」
舌打ちをしながら、ヴィクターは少女の腕を引っ張った。
「ガキが目の前で死ぬと、目覚めが悪いんだ。だからいまはついてこい」
ヴィクターは、グロック19を撃ちながら車の置いてあるガレージまでなんとか行くことが出来た。
どうやら車は無事のようだ。少女を車に乗り込ませるとガレージから車を発進させる。
その直後、車は銃火にさらされることになった。
「なめんなよ、こいつは外見は悪いが、しっかり防弾使用になってんだよ」
その言葉のとおり、車は壊れそうな悲鳴をあげながらもしっかり走っている。
おんぼろの日本車はしっかりと走る、だがしかしおんぼろの宿命か悲しいほどに遅い・・・
「おいっ!そこの銃をとってくれ」
ヴィクターは少女にそういうと、無気力な少女は何も言わずにそれに従った。
ソードオフ(銃身を切り詰めた)ショットガンを手にして、重心を確かめる。
「スラッグ弾(散弾ではなく単弾)の威力、おもいしれ」
狙いを定め引き金を引くと、追ってきていた車をたった一発で走行不能にした。


追っ手を撒いたあとヴィクターは自分の隠れ家の一つに避難することにした。
少女を車から下ろしたあと、状況を整理することにした。
無気力な少女を下ろすのは案外骨が折れた。
「なんでオレがこんなことを・・・」
自分を殺そうとしていた少女の世話を焼いているという事実を思い出すと、ヴィクターは、苦笑するしかなかった。
そして今日一日を振り返り、また苦笑した
何でオレがこんな目に遭わなきゃならないんだ・・・

ここは『捨て置かれた街』こんなことは日常茶飯事、でも今回は少し様子が違うように感じる。

ヴィクターは少女を部屋の中に入れる。すると少女はおもむろにベッドに倒れこみそのまま静かに寝息をたてはじめた。ショックを受けてはいるが案外図太い神経をしているのかもしれない、そんなことを考えながらヴィクターは苦笑しながらソファに寝ることにした。
きょうは疲れた・・・・


  1. 2007/12/08(土) 23:49:44|
  2. グロックマン
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天下No.5

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どんなに忙しくても、どんなに寝不足でもいつでもどこでもヒマだと言ってたりする矛盾が多い人間

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